華やかな黄色い花〜モクゲンジ〜
2016.07.03 更新
1月寒風の中でロウバイが開花し,2月を迎えるころにはシナマンサクが花開き,香り高いウメが咲き終わる頃にはハナモモが春の華やぎを見せる・・といったように季節ごとに美しい花が咲く天津の森ですが,ここしばらくは緑がその色を深めていました。その天津の森に再び鮮やかな色が戻ってきました。それが黄色い花を雲のようにつけているモクゲンジです。(写真1)
ムクロジ科モクゲンジ属の落葉高木で,朝鮮半島や中国を原産地としています。日本でも本州から九州の日本海沿岸に分布しますが,これが自然分布か栽培品が逸脱したのか定かではありません。
枝先に円錐花序を出し,(写真2)明るい黄色の花を咲かせます。4弁の花は,中心部に赤い突起があり付属体と呼ばれています。この種は雌雄同株ですが異花で雄花には8本のオシベがあります。(写真3)雌花にもオシベのようなものが見られますが,発達せずにメシベだけが伸びます。(写真4)
花期を終えるとたくさんの花がハラハラと落ちていきます。英名はその様子を例えたもので「Golden rain tree」つまり金色の雨が降るようです。
花の後につける実は袋状で,(写真5=2015/7/24撮影)成熟すると袋が割れて種子をまきます。この種子は黒くて堅く数珠(じゅず)玉として使われます。
センダンバノボダイジュという別名がありますが,ボダイジュの仲間ではありません。これは仏教の聖木でありその実から数珠がつくられるボダイジュに模されたことからつけられたようです。センダンバは栴檀(せんだん)の葉で,この種の葉が似ている(写真6)ことに由来します。
モクゲンジという少し変わった名前はムクロジの中国名「木患子」が本種と取り違えられたことによるようです。その日本語音読みがモクゲンジです。
天津の森ではこのあともナンキンハゼが花芽をつけて開花の時を待っています。もうしばらくは華やかな時が続きそうです。