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花・緑情報

あじさい通信2016その7〜西洋あじさい園〜

2016.06.30 更新







 6月最後の一日も蒸し暑い梅雨空です。今日はこの鉛色の空の下で華やかに咲く西洋あじさい園のあじさいをご紹介します。(写真1)

 西洋あじさいの名前からは「ヨーロッパ原産のあじさい」と考えられがちですが,基は日本原産のあじさいで,海を渡ってヨーロッパで様々に交配・品種改良されたものです。それが日本に逆輸入されて「西洋あじさい」と呼ばれていましたが,今では日本でつくられたものも多く見られ,西洋あじさいの名前は実情と合わなくなっています。そのため「園芸あじさい」と呼ばれる場合もあります。

 その一つであるブルースカイは濃い青が美しい額縁咲きのあじさいです。(写真2)大きな装飾花(飾りの花)が華やかで,花弁が厚く花持ちがよいのが特徴です。この種はスイスで作出されました。

 赤紫が美しい手まり咲きのあじさいは「プリマ」と名付けられています。イタリア語で最高級を意味する名前を持ったこのあじさいは,本園では赤系統ですが,土壌によっては青系統にもなるようです。

 いわゆる西洋あじさいではありませんが,同じガクアジサイを原種とする各種あじさいもこちらでご覧いただけます。

 その一つがミカワチドリです。装飾花を持たない両性花だけのあじさいで,鮮やかな青が咲き進むと赤混じりとなり,それもなかなか美しい花です。(写真4・5)ミカワチドリ(三河千鳥)の名前は,ガク片が垂れ下がる姿が千鳥を連想させることによるものです。三河は産地の静岡県浜松市によりますが,天竜千鳥の別名で呼ばれることもあります。

 ジョウガサキ(城ケ崎)は額縁咲きで,八重の大きな装飾花が美しい花です。(写真6)この種が発見された東伊豆の城ケ崎海岸は変化にとんだあじさいが見つかっており,この種もその一つです。

 西洋あじさい園ではこれら以外にも多種多様なあじさいをご覧いただけます。艶やかな色の競演をお楽しみください。