イワガラミ
2016.06.15 更新
6月も半ばとなりました。アジサイの色付きも順調に進み,ヤマアジサイ系の各種アジサイは多くが見頃を迎えています。あじさい坂のヒメアジサイも部分的には見頃で,全体的にも見頃が近づいています。(写真1)明日予想されている雨も恵みの雨となるでしょう。
アジサイの仲間では早い時期に咲き出したツルアジサイはすでに花期を終え,両性花も落ちていますが,今はよく似たつる性植物のイワガラミが花期を迎えています。(写真2)
イワガラミはアジサイ科イワガラミ属の落葉つる性木本で,北海道から九州にかけて分布し,山地の岩崖や林縁に生育します。名前はそのまま習性を表しています。
枝先に花序を形成し,中心部には小型の両性花をたくさんつけ,周囲に花弁状の装飾花を配しています。(写真3)この植物に特徴的なことは,花弁状の装飾花が1枚である点です。(写真4)遠目でみるとツルアジサイと区別がしにくいのですが,この装飾花を見ると容易に区別できます。またその形も花よりも葉に近い姿をしています。
両性花は5枚の花弁を持っていますが,開くことはなく,開花の時に帽子を脱ぐように脱落します。従って開花した時には花弁はついていません。この花弁はつぼみの時にオシベ・メシベを保護する役割だけを持っているようです。10本あるオシベが折れ曲がっているのは,花弁の中で折りたたまれているからのようです。(写真5)
イワガラミは六甲の登山道でも木に絡みついた姿をご覧いただけますが,本園ではロックガーデンからつつじ園に向かう道筋のコナラの木に絡みついています。またそこから数m先にある保存園入口付近では棚に絡みついている姿を眼前にご覧いただけます。(写真6)緑深まる葉の中に浮かぶ白い花の風情をお楽しみください。