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花・緑情報

アリマウマノスズクサ

2016.06.14 更新






 花の咲き具合が決まるのには諸要素があると思いますが,今年はひときわヤマボウシの花が鮮やかです。5月下旬ぐらいから見頃となり今でも山々を白く染めています。そうかと思えばあまり花を見かけない自生種の植物もあります。少し変わった花をつけるアリマウマノスズクサもその一つです。昨日ようやく花をつけた株を見つけましたのでご紹介します。(写真1)

 アリマウマノスズクサはウマノスズクサ科ウマノスズクサ属のつる性多年草で,横から見ると楽器のサックスのような形をしています。(写真2)形からは食虫植物を思わせますがそうではありません。

 花は茶褐色の口の部分(舷部=げんぶ)と黄緑色の内筒部からできており,花に誘われた虫は内筒部に入り込み,その奥にあるオシベ・メシベ(写真3)に触れることで受粉します。すでに受粉を終えて実をつけているものも見られました。(写真4)

 特徴的な花を持つアリマウマノスズクサですが,葉も特徴的な形をしており,ミッキーマウスに例えられることもあります。(写真5)この葉の形でも近縁種のウマノスズクサ属植物と区別できます。

 名前の「アリマ」は植物学者牧野富太郎博士が有馬温泉近くの六甲山系で発見したことに由来しています。「ウマノスズクサ」は馬がつける鈴に形がにているためにつけられたようです。

 神戸では六甲山系でアリマウマノスズクサが,西神戸で近縁のウマノスズクサがよく見られるようです。木々に絡みついていることが多いので,低木の茂みをじっくり探すとこの変わった花に出会えるかもしれません。