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花・緑情報

シモツケの仲間

2016.06.09 更新








 今日も梅雨らしい天気が続いています。この時期,園内では白い花が目立っていますが,その中で華やかな赤に近いピンクの花を咲かせているのがシモツケの仲間です。

 シモツケはバラ科シモツケ属の落葉低木で,本州から九州にかけての山地や林などに自生します。学名にはjaponica(ヤポニカ)とつけられていますが,中国や朝鮮半島にも分布しています。

 枝先にたくさんの花序を出し,小さな花を半球状に密生させます。(写真1・2)密生しており,オシベが目立つため分かりにくいのですが,5弁の花はウメを思わせるバラ科植物らしい花です。(写真3)

 シモツケの名前は下野国(しもつけのくに=旧国名で今の栃木県)で初めて見つけられたことに由来しています。

 シモツケの近縁種でシモツケより少し淡い色の花を咲かせているのがホザキシモツケです。(写真4)枝先に長い花穂を伸ばしているのが特徴的で,これがホザキ(穂咲き)の由来です。この種は涼しい気候の湿地帯で生育するため,国内の分布はシモツケより限られています。

 シモツケは別名キ(木)シモツケとも呼ばれますが,それは草本のシモツケソウに対してつけられた名です。シモツケソウは本園では見られませんが,その園芸種といわれる(古い種なので野生種ともいわれますが,今自生は見られません)キョウガノコが咲いています。(写真5)

 キョウガノコはシモツケソウ属の半常緑多年草で,その名の通り和の趣きを感じさせる花です。シモツケソウよりも全体的に大振りで,茶花として用いられたり,日本庭園に植栽されたりしています。その名前は,鹿の子模様の華やかな京都産である絞り染めの名から採られています。

 シモツケとキョウガノコは花がよく似ており,木本・草本の違いはあるものの大きさもそれほど変わりません。それでも葉の形は全く違っているため(写真6=シモツケ 7=キョウガノコ)区別は難しくはありません。

 これら3種のシモツケの仲間は長谷池近くでご覧いただけます。長谷池で咲く水辺の植物とともにご鑑賞ください。