カラタネオガタマ・オオヤマレンゲ〜モクレンの仲間〜
2016.06.03 更新
今朝は6月にしては気温が低めで,森林植物園の最低気温は11℃と,3〜4月並みの肌寒さを覚える気温でした。それでも空は晴れあがり爽やかな空気の園内です。今日はモクレンの仲間であるカラタネオガタマとオオヤマレンゲをご紹介します。
カラタネオガタマはモクレン科オガタマノキ属の常緑小高木で,中国南部を原産地としています。
大きな花を咲かせる種が多いモクレンの仲間としては小ぶりな花を咲かせます。(写真1)
その花は薄いクリーム色に淡い赤がかかったしっとりとした色合いの花被片と,バナナのような芳香をもっています。そのため英名ではバナナツリーと呼ばれています。(写真2)
そのオシベとメシベは,多数あってらせん状につくというモクレン科に特徴的な形態となっています。(写真3)
カラタネオガタマという舌を噛みそうな名前は,唐種つまり中国産であることを表し,近縁種である日本原産のオガタマノキからオガタマ(招霊)の名前をとっています。(写真4=3/29撮影)
オオヤマレンゲはモクレン科モクレン属の落葉低木で,関東北部以西で標高1000〜2000mの高地に自生します。
陶器のように白い花弁,薄紅色のオシベを持つ花をうつむき加減につける風情から,別名「天女花」とか「森の貴婦人」などとも呼ばれます。(写真5・6)
近年シカによる食害や盗掘そして環境の変化などにより自生が減少しており,自生地が天然記念物にしていされているところもあります。
オシベ・メシベはカラタネオガタマ同様にモクレン科の特徴的な姿をしています。(写真7)
オオヤマレンゲ(大山蓮華)の名前は,古くから自生地として知られ,ユネスコ世界遺産にも登録されている奈良県南部の大峰山系(大山)とハス(蓮華)に似た花を咲かせることに由来しています。
花の風情は少し違っていますが,ともに甘い香りと趣きのある花をつけるカラタネオガタマとオオヤマレンゲは,梅雨時を迎えるまでのわずかな間お楽しみいただける花です。