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花・緑情報

イイギリ

2016.05.29 更新







 朝方は晴れていましたが少しずつ雲が広がってきました。梅雨近しを感じさせる不安定な天気です。展示館内で飼われている,(また池に戻しますが)シュレーゲルアオガエルが軽やかに鳴いて雨の接近を知らせています。

 この曇天の下,秋に赤い実をたくさんつけていたイイギリが花を咲かせています。(写真1)

 イイギリはヤナギ科イイギリ属の落葉高木で,本州以南から朝鮮半島や台湾,中国に分布しています。

 ブドウの房のように垂れ下がった円錐の花序に花をつけていますが,この花序は長いものは30cmぐらいになります。(写真2)

 花には花弁はなく,花弁状のガク片を5枚程度つけています。この種は雌雄異株で,雄株につく雄花はたくさんあるオシベがよく目だっています。(写真3)雌花は柱頭が数本あり,その下についているふくらんだ子房が目につきます。(写真4)この花はほのかな香気を持ち,その香に引き寄せられたのか様々な虫たちがきています。

 秋につける赤い実は落葉後も長く残り,遠くからもよく目立ちます。(写真5=2015/11/14撮影)この実がナンテンの実に似ているということでナンテンギリとも呼ばれています。

 「キリ」と名がつけられていますが,アオギリなどと同様「桐」とは全くの別種です。この名はその材の色が似ており,木材としても下駄の材料など桐の代用として使われることによる・・というのが一般的なようですが,「葉が似ているため」との説もあります。「イイ」はその葉によるもので,大きな葉にご飯を盛っていたためとされています。(写真6)

 イイギリは園内各所でご覧いただけます。何本かかたまっているのはさくら園の近くと,香りの道からリガの森に出る辺りです。花とともに甘い香りをお楽しみください。