昨夕から降り続いた雨は明け方まで残りました。この雨に刺激されたのか，森林展示館前の滝池の樹上にモリアオガエルの卵塊が出現しました。（写真１）これから梅雨にかけてもっと卵塊は増えていくはずです。梅雨の花アジサイとともにぜひご覧ください。

　例年この卵が現れるころに咲き始めるのが小さなアジサイ「コアジサイ」です。今年もシャクナゲ園の林床などにその可憐な姿を見せています。（写真２・３）

　コアジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木で，本州の関東以西から四国・九州にかけて分布する日本固有種のアジサイです。

　枝先にいくつかの花序をつけ，それから枝分かれさせ小さな花をつけます。その花柄の紫と淡い青の花が美しいコントラストを見せる魅惑的な花です。（写真４）

　花は，アジサイの仲間によく見られる装飾花を持たない両性花だけで構成されています。その一つ一つの花は白に近い淡い青の５弁花で，１０本のオシベは花弁より長く，その透明感のある青い花糸にやや黄色を帯びた葯がアクセントとなって上品な美しさを形づくっています。（写真５）またこの花はほのかに香る甘い香りを持っています。

　別名シバアジサイ（芝紫陽花）とも呼ばれますが，コアジサイ（小紫陽花）ともども小さなアジサイを表す名前です。

　林床や林縁にひっそりと咲き，ほのかな芳香を漂わせるコアジサイは静かな気品を持っています。その風情をお楽しみください。