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花・緑情報

サンショウバラ

2016.05.16 更新






 5月も半ばを過ぎました。新芽を展開し始めてひと月ほど経ったコナラ広場のコナラの木々も,すっかり緑を深め緑陰をつくっています。そのコナラ広場の一画でサンショウバラが次々と花を咲かせ始めています。(写真1)

 サンショウバラはバラ科バラ属の落葉小高木で,日本固有種の野生バラです。

 小枝の先端につく淡紅色の5弁花は,径が5〜6cmになる日本の野生種のバラの中で最も大きなものです。(写真2)この花はいわゆる一日花で,花が開いてしばらく経つと色が薄れそして散ってしまします。そんな繊細さが柔らかな色合いと相まって儚さを感じさせる花です。つぼみは濃い赤色で,花との美しいコントラストとなっています。(写真3)

 その葉は奇数羽根状複葉で9〜19個の小葉で構成されています。この葉がサンショウ(山椒=実と葉を香辛料として利用する植物)に似ていることがサンショウバラの名前の由来です。(写真4)

 この果実は大きく,つぼみの時から生えている硬いトゲに覆われています。(写真5=2015/7/5撮影)この実は果実酒として利用できるそうです。

 山地に生育しますがその自生範囲は非常に狭く,神奈川・山梨・静岡にまたがる富士・箱根地域に限られています。その自生地からハコネバラの別名ももっており,環境局の絶滅危惧種2類に指定されています。

 希少な種そしてはかない命の花は,まだつぼみはあるものの早めにご覧いただきたいと思います。初夏の光に輝く繊細な色合いをお楽しみください。