トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

ハクウンボク

2016.05.13 更新







 緑深まる六甲の山々の上には青い空が広がっています。そして初夏を表す季語である「松蝉」(マツゼミ)の別名を持つハルゼミの声が響き渡る中,ハクウンボクが青空をバックに,白い雲のように花を咲かせています。(写真1・2)今日はこのハクウンボクをご紹介します。

 ハクウンボクはエゴノキ科エゴノキ属の落葉高木で,北海道から九州にかけての山地に生育します。日本以外では朝鮮半島や中国にも分布しています。

 枝先に10〜20cmぐらいの花序を出して,白い花を下向きにたくさんつけます。(写真3)

 一つ一つの花を見ると,花冠は5つに深く裂け,筒状にまとまってついたオシベの黄色い葯が,白い花弁によく映えて目だっています。メシベは1本でオシベの間から長く突き出ています。(写真4)

 花の香りはほのかですが,白く目立つ花にはチョウやハチなど多くの虫がやってきています。そして今日は花に惹かれたのではないかもしれませんが,夏を彩る鳥の一つであるキビタキがやってきて,オシベの黄色と鮮やかな黄色の競演を見せてくれました。(写真5)

 ハクウンボクを特徴づけているのは,このたくさんつく花以外にも,丸くて大きな葉があります。(写真6)葉の中には直径が30cm近いものもあります。別名である「オオバ(大葉)ヂシャ」の名もこの葉に由来しています。ちなみにチシャは近縁で似た花をつけるエゴノキの別名です。なおハクウンボクの名前は,いうまでもなく白い雲のように花を咲かせることからきています。(白雲木)

 ハクウンボクは香りの道やシラカバ林周辺でご覧いただけます。頭上を覆う雲のような花をご覧いただくなら香りの道,間近に花をご覧いただくならシラカバ林においでください。華やかな初夏の彩りをお楽しみいただけるはずです。