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花・緑情報

天津の森で咲く花〜ハナヒョウタンボク・シナヒイラギ・シナアブラギリ〜

2016.05.09 更新









 連休明けの月曜日は雨の一日となりました。けれどもこの雨は植物を育て緑を深める雨です。

 今日は緑深まる天津の森で咲く花をご紹介します。早春,園路際でウメやシナマンサクなど多くの花が咲いていた天津の森ですが,その後もハナズオウやハナモモ,モモなど華やかな彩りが続きました。そして今は園路から少し中に入ったところで花が咲いています。その一つが緑に映える白い花ハナヒョウタンボクです。(写真1)

 ハナヒョウタンボクはスイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で,もちろん中国にも分布していますが,日本でも東日本の一部に自生しています。

 花は枝の先の方の葉の脇に2つずつ並んでつきます。(写真2)花冠は2cmぐらいの筒型で,唇状に大きく2つに裂けています。そして上唇の部分が4つに割れています。(写真3)

 この植物は氷河期にシベリアから日本に渡ってきた遺存植物といわれており,国内では青森・岩手・群馬・長野などの亜高山帯に隔離分布しています。自生種は希少で,その群落が天然記念物に指定されている場所もあります。

 そのハナヒョウタンボクの群生のさらに奥,天津の森の端近くでシナヒイラギも花を咲かせています。別名ヒイラギモチとも呼ばれるモチノキ科モチノキ属の常緑小高木で,中国を原産地としています。

 雌雄異株であり,たくさんの花をつけているのが雄株です。(写真4=雄花)雌株もまだ花をつけていますが,すでにたくさんの実もつけています。(写真5=雌花と実)

 この樹木を特徴づけている一つがその鮮やかな赤い実で(写真6=2015/12/12撮影)クリスマス飾りに使われるセイヨウヒイラギの実の代わりに使われることもあります。そのため英名ではチャイニーズホーリーと呼ばれています。また縁に鋭いトゲを持つ革質の葉も特徴があり,ムササビが飛んでいる姿を連想させます。(写真7)

 これらは天津の森のモニュメントがある側で見られますが,園路を挟んで反対側の香りの道に下りる階段沿いではシナアブラギリが花を咲かせています。(写真8)

 トウダイグサ科アブラギリ科の落葉高木で,やはり中国を原産地としています。アブラギリ(油桐)の名前は,その実から塗料用の油が採れることに由来しています。

 これらの花は園路からは見えにくい場所に咲いています。森林浴を兼ねて園路から少しお入りいただいて花をご鑑賞ください。