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花・緑情報

ヤブデマリ

2016.05.07 更新






 朝方は曇り空でしたが薄日もさし,午後からは回復に向かうようです。連休の最後を自然の中で楽しまれる方も多いかと思います。

 先日オオデマリの花をご紹介させていただきましたが,その原種であるヤブデマリが開花し,見頃を迎えていますのでご案内します。(写真1)

 ヤブデマリはレンプクソウ科ガマズミ属の落葉低木で,本州・四国・九州に分布し,水辺や湿り気のある林などに自生します。

 花はやや黄色みを帯びた小さな両性花が集まる花序の周りに,両性花より大きく白い装飾花が縁取っています。(写真2)この装飾花は5枚の花弁の内1枚だけが小さいというユニークな形をしています。(写真3)この装飾花を見ればオオカメノキなど似た花を咲かせる植物と区別できます。なおこの小さな花弁は花序の内側を向いてついていますが,1枚だけ小さいのは両性花が隠れないようにするためといわれています。その両性花も5弁花で,5本のオシベを持ち黄色い葯がよく目だっています。(写真4)

 花期が終わり夏を迎えると実をつけますが,鮮やかな赤い実で,花同様に見応えがあります。(写真5=2015/7/23撮影)この実は秋には黒くなります。

 ヤブデマリ(藪手鞠)の名前は藪のような林内に生育し,丸い形の花序を持つことに由来するようですが,園芸種であるオオデマリのような手まり咲きとは少しイメージが違います。

 ヤブデマリはしゃくなげ園入口付近かたつつじ園に至る斜面地でご覧いただけます。しゃくなげなどに囲まれたほの暗い林内に,浮かぶように咲く白い花をお楽しみください。