色鮮やかなツツジ
2016.04.25 更新
夏の森を彩る青い鳥オオルリをご紹介したのは2週間ほど前のことですが,もう一種,目にも鮮やかな黄色をまとった鳥キビタキも姿を現しました。(写真1)姿だけでなく,オオルリ同様に澄んだ美しい声も聞かせてくれます。眼前に現れなくても,声だけでご散策のひと時を楽しませてくれるはずです。
そして野鳥だけでなく,今が盛りと咲き誇るツツジの鮮やかな色も,新緑の中から目に飛び込んできます。中でも多く見られるのが,園路の林床で薄赤く浮かび上がるヤマツツジです。(写真2)
ツツジ科ツツジ属の半落葉低木で,北海道南部から九州までの低山地で,林縁や尾根筋などに自生します。
漏斗型で5弁の花びらは濃さの個別変化はありますが,全般的にオレンジに近い薄い赤で,ミツバツツジ類とはまた違った色合いです。(写真3)
そのヤマツツジより濃く鮮やかな赤の花をつけているのがキリシマツツジです。(写真4・5)この鮮やかな色が好まれ,庭木や生け垣などに利用されるためご覧になったことがある方も多いと思います。
前出のヤマツツジと九州各地の高山に自生するミヤマキリシマの交配種とされていますが,鹿児島に自生するサタツツジが関わっているともいわれます。
これら2種とはまた違う色合いで目を楽しませてくれるのがクルメツツジです。(写真6)
その名前は久留米(くるめ)の有馬藩士が育苗したことに由来しています。その藩士坂本元蔵は200種以上の品種を作出したといわれ,前出のキリシマツツジもその一つです。クルメツツジとキリシマツツジは同種の色違いとして扱われることもあるようです。
ツツジの仲間は数多くの野生種とともに,それらから作出された多くの園芸種があります。そのためその色合いも多種多様です。それらの微妙な色や風情の違いをお楽しみください。