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花・緑情報

新緑の候〜メタセコイア・カラマツ〜

2016.04.19 更新








 様々な木々が芽生える春,山菜として知られるタラノキの新芽(タラノメ)も芽吹き始めました。(写真1)その少しほろ苦い味はまさに春の味です。そうした新緑の中でも,とりわけ目に優しく青空に映えるのがメタセコイアやカラマツなど落葉針葉樹の新緑です。

 メタセコイアは本園正門付近で皆様方のご来園をお迎えするシンボルツリーの一つです。(写真2)ヒノキ科メタセコイア属の落葉高木で,和名アケボノスギの名前で呼ばれることもあります。

 最初化石で発見され絶滅種と考えられていましたが,のちに中国奥地に生育していた水杉(スイサー)が同種であることが分かりました。そのため「生きた化石」とも呼ばれます。

 本園では展示館前のほか,多目的広場に向かう道がメタセコイア並木になっており,柔らかな緑のトンネルになっています。(写真3)この並木は晩秋には黄金色に染まります。(写真4=2015/11/10撮影)

 メタセコイアの名前は近縁種で葉が似ているセコイアに接頭語のメタをつけたもので,メタは「後の」とか「変わった」などの意味を持っています。和名のアケボノ(曙)スギはその黄葉の色に由来しています。

 カラマツは日本固有種の落葉高木で,中部地方以北の亜高山帯から高山帯にかけて自生します。日本原産の針葉樹ではただ一つ落葉する樹木で,落葉松と表記することもあります。

 やがて緑を深めていく葉ですが,芽吹いたばかりの今はまさに萌木色(萌黄色)というのにふさわしい優しい色合いです。(写真5)

 カラマツ(唐松)の名からは中国が原産地のような感じを受けますが,上記のように日本の固有種であり,その名前は「唐絵のマツに似ている」ことからきているようです。

 本園では長谷池手前の斜面地に林を形成しており,花盛りのコバノミツバツツジやまっ赤に染まったハナノキの翼果との取り合わせも見応えがあります。(写真5)またメタセコイア同様秋には黄葉し,芝生広場や長谷池周辺で憩う方々の目を楽しませています。(写真7=2015/11/21撮影)

 瑞々しい新緑は春の青空によく似合います。できれば天気のよい日に,緑の風に吹かれながらこの新緑をお楽しみいただければと思います。