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花・緑情報

夏の鳥〜オオルリ・センダイムシクイ〜

2016.04.12 更新









 気温は低いものの優しい日差しが降り注ぐ一日です。園内には柔らかな新緑を渡る風の音と野鳥のさえずりが流れています。(写真1=天津の森)

 越冬のために六甲山系にわたってきた冬鳥は少しずつ姿を見せなくなってきています。「冬の青い鳥」ルリビタキも3月半ば過ぎから姿を見せなくなりました。それに代わって「夏の青い鳥」オオルリが姿を現しました。(写真2)

 ヒタキ科オオルリ属に分類され,インドシナ半島やフィリッピンなど東南アジアで越冬し,4月頃南西諸島以外の日本各地にやってくる渡り鳥です。

 全長16cmぐらいとスズメを少し大きくしたぐらいの大きさで,その光沢のある青い背と白い腹部のコントラストが美しい鳥です。(写真3)

 姿だけでなく「ピーリーリー」という高く澄んだ声も美しく,ウグイス・コマドリとともに日本三鳴鳥の一つに数えられています。

  多くの鳥がそうであるように,このオオルリも鮮やかな青の色はオスだけで,メスはコサメビタキに似た茶色っぽい色で,オスと一緒にいないとオオルリであることの確認は難しいように思われます。(写真4・5=メス 2015/5/1撮影)

 オスもこの美しい色になるには2〜3年を要するようで,夏から秋にかけてまだ頭部に茶色の毛が残っている幼鳥に出会うことがあります。(写真6=2015/7/17撮影)

 このオオルリとほぼ同時期,本園では4月の第2週ぐらいから盛んに声を響かせるようになったのがセンダイムシクイです。(写真7)「チヨチヨ・ビー」という独特の声を聞かれたことがある方も多いのではないでしょうか。

 メボソムシクイ科メボソムシクイ属に分類される渡り鳥で,オオルリ同様に東南アジアで越冬し,日本では九州以北にやってきます。

 緑褐色のそれほど目立たない色合いで,目の上に眉毛のような白い線が見られます。(写真8)声を聞かなければ他の鳥と見分けにくく,梢高くにいてよく動き回るため観察が難しい鳥です。

 センダイムシクイの名前は,特に杜の都仙台に多いわけではなく,その鳴き声を「ツル チヨ ギミー」(鶴千代君)と聞きなしたことに由来しています。鶴千代君は歌舞伎の演目である「伽羅仙台萩(めいぼくせんだいはぎ)」に出てくる若君のことです。

 園内ではこれら夏鳥・留鳥のほかにもアオジやアトリその他の冬鳥もまだご覧いただけます。そよ風と新緑の中バードウオッチングをお楽しみください。