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花・緑情報

オオカメノキ

2016.04.11 更新









 今日4月11日は神戸市立小・中学校の入学式の日です。ご入学のみなさんには心よりお祝いを申し上げます。本来ならば校庭の桜が満開となって入学を祝ってくれるはずですが,開花が早かった今年は葉桜になっている学校も多いと思います。そこでまだ見頃である本園の桜で代わりにお祝いしたいと思います。(写真1=ヤマザクラ 2=ヤエベニシダレ)小学校6年間そして中学校3年間の学校生活がすばらしいものであることをお祈りしています。なお本園でもソメイヨシノはそろそろ桜吹雪の時期ですが,オオシマザクラやヤマザクラそしてヤエベニシダレなどはまだしばらくお楽しみいただけそうです。さらにその後にはカスミザクラやウワミズザクラなどが開花の時を待っています。しばしの春をお楽しみください。

 さくら園でのサクラとともにしゃくなげ園でもアズマシャクナゲの開花が進んでいます。そのしゃくなげ園の一画で今咲き誇っているのがオオカメノキです。(写真3)

 オオカメノキはレンプクソウ科(以前はスイカズラ科)ガマズミ属の落葉低木で,北海道から九州のブナ林内,針葉樹林内に自生します。日本以外ではサハリンや朝鮮半島に分布しています。

  枝先から散形の花序を出し白い花をつけますが,(写真4)内側の小さな花が両性花で,外側の大きな花は装飾花です。両性花は5枚の花弁と5個のオシベそして真ん中に1本のメシベを持っています。(写真5)装飾花は直径3cmぐらいでオシベ・メシベともに退化しており,その痕跡だけをとどめています。(写真6)

 以前にご紹介しましたが,この冬芽は人がバンザイをしているような可愛らしくユニークな形です。(写真7=1/16撮影)この冬芽は真ん中の顔にあたる部分が花芽で,手の部分は葉芽です。開花直前にはこんな姿になっていました。(写真8=4/1撮影)

 オオカメ(大亀)ノキの名前は,その葉が亀の甲羅に似ていることに由来しています。別名をムシカリといい,これは葉が虫に好まれよく食べられることから「虫食われ」となり,それがムシカリに転訛したといわれています。なお資料にはムシカリを和名としてオオカメノキを別名とするものも多くありますが,本園での樹名表記に従ってオオカメノキの名前で紹介させていただきました。

 オオカメノキはつつじ園からしゃくなげ園に下りる階段付近でご覧いただけます。薄暗い樹林の中で白く浮かび上がるように咲く風情をお楽しみください。なお見本園にはまだ小さい木が一本あり,花を間近にご覧いただけます。