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花・緑情報

ロックガーデンは花盛り その1〜トキワイカリソウ・ヒトリシズカ〜

2016.04.10 更新









 4月2回目の日曜日は穏やかな花曇りです。森林植物園のサクラはヤマザクラやオオシマザクラが花盛りで,園内でも十分お花見をお楽しみいただけますが,遠目に臨む山々のサクラも新緑に彩られ鮮やかです。(写真1)華やかなソメイヨシノの並木とはまた一味違うお花見をお楽しみいただけます。

 そんな森林植物園の一画で,春の草本が次々と花開いているのがロックガーデンです。今日はその中から2つの花をご紹介します。

 その一つが,角を突き出したようなユニークな花を咲かせているトキワイカリソウです。(写真2)日本を原産地とするメギ科イカリソウ属の多年草で,日本海側の多雪地帯に自生します。

 4枚の花弁は筒状に重なっっており,覗き込むとオシベとメシベが見えています。(写真3)特徴的な角の部分は距(きょ)と呼ばれ,花弁やガク片の一部が袋状になって突起したものです。(写真4)この部分には蜜が分泌・貯蔵されており,蜜を吸いに来た虫が頭を突っ込むことで確実に受粉できる仕組みになっています。ユニークな形にも植物の知恵が秘められています。

 このトキワイカリソウには白花のものもあり,(写真5)北陸地方ではこの白花のものが多く,福井県以西では赤紫のものが多いようです。

 イカリソウの名前は花が和船の錨(いかり)に似ていることに由来しています。トキワは常盤で,葉が常緑であることを表しています。

 そしてトキワイカリソウとはまた違ったユニークな花を持つのが,その名も優雅なヒトリシズカ(一人静)です。(写真6)センリョウ科チャラン属の多年草で,北海道から九州にかけての山地の林下や日のあたる草地に自生します。

 茎の先に4枚の葉が輪生し,その間から1本の花序が出ています。(写真7)花弁はなく,白い部分はオシベの花糸です。花を詳しく見ると白い部分の基部に黄色い部分が見えますが,これがオシベの葯(やく)です。またオシベの根元あたりから半透明の突起が出ていますがこれがメシベです。(写真8)変わった姿ではありますがオシベとメシベからなる両性花です。

 ヒトリシズカの名前は源義経が愛した静御前の名前にちなんでおり,花が咲く姿を一人で舞う姿に見立てたものです。別名のヨシノゴゼンは静御前が義経と別れた吉野山に由来するものです。

 ロックガーデンではこの2種以外にも多くの花が見られます。そして入れ替わりながら次々と花開き春を華やかに彩っています。