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花・緑情報

桜便り その1〜ソメイヨシノ・エドヒガン・オオシマザクラ〜

2016.04.04 更新









 今日4月4日は二十四節気の清明(せいめい)です。「万物が清々しく明るく美しい」とされる頃です。森林植物園でも花々が咲き,柔らかな新緑が広がっています。特に雨に洗われた今朝の新緑は一層輝いていました。(写真1=リキュウバイ)

 本園のサクラもここ数日で開花が進みました。今日は見頃になったサクラの様子をお伝えします。

 サクラといえばこの種を指すぐらい,人々に親しまれ多くの場所に植栽されているのがソメイヨシノです。(写真2)河川敷や公園などのサクラはほとんどがこの種であり,本園でもサクラ園の中心を占めています。

 5弁の花はいわゆる桜色と呼ばれる淡いピンクで,満開になると白に近づきます。葉が展開する前につける花は密生して見応えがあります。これもこの種が好まれる要因の一つです。(写真3)

 この種は野生種であるエドヒガンとオオシマザクラの交配種で,江戸時代末期から明治時代初期に人工的な品種改良でつくられた園芸品種であるといわれています。ソメイヨシノ(染井吉野)の名前も江戸期に植木職人が多く住み,この種がつくられたとされる染井村に由来しています。

 ソメイヨシノの原種の一つであるエドヒガンもソメイヨシノに先駆けて満開となっています。(写真4)

 花はソメイヨシノ同様にたくさんつきますが,一つ一つの花はソメイヨシノより小ぶりです。(写真5)

 サクラの中では長寿の種として知られ,樹齢2000年を超えるといわれる神代桜(山梨)や1500年を超える淡墨桜(岐阜)そして兵庫県の樽見の大桜などはこのエドヒガンです。

 ソメイヨシノのもう一つの母種であるオオシマザクラは,まだ満開ではありませんが開花が進んでいます。(写真6)

 この種は葉と花が同時に展開します。(写真7)花は上記2種より白く,緑の葉によく映えてソメイヨシノとはまた違う美しさを持っています。花はボリュウムがあり,ソメイヨシノはその形質を受け継いでいるようです。(写真8)

 この葉は桜餅を包むのに利用されますが,生の葉にはその特有の香りはなく,塩漬けにすることで香りが生まれるようです。

 オオシマザクラの名前は伊豆大島に自生することに由来するとされています。

 本園では上記3種以外にも様々な種類のサクラをご覧いただけます。明日も引き続き違う種類のサクラを紹介させていただきます。