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花・緑情報

満開の木々

2016.04.01 更新









 4月を迎え新しい年度が始まりました。張り切って新社会人としての生活をスタートさせた方も多いのではないでしょうか。皆様方の新生活がよりよいものであることを心より願っております。今日はそうした方々の前途を寿ぎ,本園で今満開の花を咲かせている木々をご紹介します。

 園内のあちらこちらで,雲が湧き上がるかのごとくたくさんの花を咲かせているのがコブシです。(写真1)山々の春を彩るこのモクレン科の高木は,同じ仲間のタムシバと花だけで区別するのは難しいのですが,花の基部に1枚の葉を持っているのが特徴で(写真2)タムシバにはこれがありません。園内には数は少ないですがタムシバもありますので見比べていただければと思います。

 まだ風が冷たい早い春に花をつける植物は黄色い花が多いのですが,その中でも柔らかい色の花を咲かせるのがトサミズキとヒュウガミズキです。(写真3)長谷池手前の園路で今が盛りと咲き誇っています。ともに一つの花序から複数の花がぶら下がるように咲いていますが,花の数が多く樹高が高いのがトサミズキです。

 高級和菓子の楊枝として使われるクロモジ(黒文字)も満開の花を咲かせています。(写真4)この花をご覧になったことがない方も,一度はこの黒い皮を残した楊枝を使われたことがあると思います。

 これら黄色い花より濃い色の花をつけ,園内を華やかに彩っているのがレンギョウです。(写真5)モクセイ科の落葉低木で4弁の花をたくさんつけます。(写真6)耐寒・耐暑性に優れ,病害虫にも強く,土壌を選ばないことから公園木や庭木などに利用され,道路沿いにもよく植栽されています。一般的に利用されているのはレンギョウ・シナレンギョウ・チョウセンレンギョウなど中国・朝鮮半島を原産地とするもので,本園のものも多くはチョウセンレンギョウです。レンギョウは漢字で「連翹」と書きますが,これは漢名で和名はこれを日本語音読みしたものです。ただし中国では連翹は別の植物を指し,日本に渡来した時に誤用されたようです。レンギョウは園内各所で見られますが,特に群生しているのは多目的広場周遊路です。この周遊路ではユキヤナギの群生もご覧いただけます。(写真7)

 昨日もお伝えしたように本園のサクラの多くはまだ咲き出した所ですが,自生するヤマザクラはすでに満開近くなっています。(写真8)香りの道沿いやそこから望む山々では浮き上がるようなピンクの花をご覧いただけます。

 この満開の花々のように,皆様方の新生活が花開き実り多きものであることをお祈りしております。