マヤラン開花中
2016.01.21 更新
「寒中お見舞い申し上げます。」
今日1月21日は二十四節気の大寒です。寒の中日で,一年間で一番寒い頃とされています。大寒の朝に汲んだ水は一年間腐らないといわれており,この水をとっておく方もおられるようです。
そんな寒い頃ではありますが,ロックガーデンではセツブンソウが可愛らしい蕾をつけ,春への胎動を感じさせてくれます。(写真1)
そして展示館内人工気象器の中では,希少植物マヤランが開花しています。(写真2〜4)
マヤランはラン科シュンラン属の多年生植物で,栃木県以西,四国,九州,沖縄に分布しています。
完全に開花すると後背部の3枚のガク片と,紅紫色の紋が入った花被片がよく目に付きます。(写真5=資料画像)
マヤラン(摩耶蘭)の名前は1904年に植物学者牧野富太郎博士によって採集・命名されましたが,それは初めて発見された地である本園からほど近い摩耶山に由来しています。ただそれ以降摩耶山では確認されていません。
この種が希少であるのは,腐生植物つまり光合成ができず菌類と共生して生活する植物ですが,特定の樹種の根で生活する特定の菌類に依存しているのがその理由の一つです。また繁殖力が弱いこと,葉を持たないため,花が咲かないと見つけにくいうえ花期が短いなどの要素も希少種たるゆえんのようです。兵庫県内でもこれまで数例しか確認されていません。
本園では種の展示とともに,増殖や自然への適応を調べるため,神戸市立フルーツフラワーパークの協力を得てフラスコでの培養・栽培を行っています。(写真6)
毎年必ず花をつけるとは限りませんので,ぜひ花が咲いている間にご覧ください。