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紅葉のお話

2019.11.05 更新

気温が下がり、朝起きるのが少しつらくなってきました。
皆様、風邪などひかないようにご注意くださいね。

さて、森林植物園では「もみじ散策期間」も2週間ほどが過ぎ、2日からは「紅葉のライトアップ」も始まりました。
だんだんと様々な木々が色づいてきています。
気温が8℃を下回ると一気に紅葉が進むといわれています。
この週末は気温が下がるようなので紅葉具合もどんどん進むと思います。

『紅葉』という言葉は普通に使いますが、どういったものかご存じでしょうか?

詳しく解説すると化学式とかが出てきてなかなか理解しづらいのでごく簡単にお話したいと思います。

そもそも『紅葉』という漢字の読み方は「こうよう」です。
落葉樹が冬に葉を落とすのに先立って、葉の色を変えることをいいます。

『紅葉』という漢字は「もみじ」とも読めます。
「もみじ」と読むと植物の名前ですね。

ちょっと前のブログにも書いた記憶があるので重複した話になりますが、「もみじ」も「かえで」も同じ属の樹木を表す言葉で学名で書くと”Acer“になります。

余談ですが”Acer“は以前「カエデ科カエデ属」に分類されていましたが、現在は「ムクロジ科カエデ属」に変更されています。(APG分類)

「モミジ」という名前は「もみづく(手でもんで染み出すように色が出るみたいな意味)」という言葉が変化したという説があります。
「カエデ」という名前は「葉の形がカエルの手に似ている」ことからきた名前のようです。

葉が小さいものをモミジ大きいのをカエデといったり、葉にある切れ込みの深いものをモミジ浅いものをカエデといったり・・・・・・園芸の世界、特に盆栽などでは区別されるようですが、分類上での違いはありません...

同じ植物を指す言葉ですが、モミジは「紅葉」と書き、カエデは「楓」と書きます。
「楓」という字はマンサク科の「フウ」という樹木を表す漢字でもあります。
ややこしいですね。

これも余談ですが、カナダの国旗に描かれているのは「サトウカエデ」の葉です。
このサトウカエデ(砂糖楓)から採れる樹液が「メープルシロップ」です。
英語でカエデ・モミジのことは区別せず「メープル」といいます。

なぜ樹木は「紅葉(こうよう)」するのか。というお話に移りたいと思います。

紅葉という言葉には「紅(あか・くれない)」という字がはいっています。
広い意味では先述の通り葉の色の変化のことですが、狭い意味では葉が赤色や橙色に色づくことを言います。
紅葉の他に黄色く色づく「黄葉(おうよう・こうよう)」や茶色・褐色に色づく「褐葉(かつよう)」という言葉もあります。

黄葉は「イチョウ」や「ユリノキ」など、褐葉は「クヌギ」や「コナラ」などが有名です。

厳密に「これは紅葉、こっちは黄葉」とわけられない中間色のものも多くあります。
そして、カエデなどは諸条件によって赤色にも黄色にも色が変わるため「この植物はこの色に変わる」とは言い切れないものもあります。

葉の色が変わる仕組みについて

樹木の葉は「クロロフィル」という緑色の色素を持っています。
クロロフィルというより「葉緑素(ようりょくそ)」といった方が聞いたことがあるかもしれませんね。

葉の持っている色素にはクロロフィル(葉緑素)の他に「カロチノイド」という黄色の色素もあります。

通常はクロロフィルの量のほうがカロチノイドより遥かに多いので葉の色は緑色に見えます。

 

 

 

 

 

 

 

イロハモミジ

 

 

 

 

 

 

 

 

イチョウ

 

秋になり気温が下がるとクロロフィルは分解されてカロチノイドが残ります。
この状態になると葉は黄色に見えます。
この状態が「黄葉」です。

 

 

 

 

 

 

 

タカノツメ

 

 

 

 

 

 

 

 

イロハモミジ

 

また、落葉樹は秋になると葉を落とす準備のために、葉が枝についてい部分(葉柄(ようへい)と枝との間に離層(りそう)と呼ばれる膜のようなものをつくります。

この離層が作られると、光合成で作られる糖分などの栄養が葉から枝に移動しなくなります。
その葉に残ったままになっている栄養が時間の経過・気温の変化などにより「アントシアン」という赤色の色素に変化すると葉が赤色に見えます。
これが「紅葉」といわれる状態です。

 

 

 

 

 

 

 

イロハモミジ

 

 

 

 

 

 

 

 

ハウチワカエデ

 

アントシアンは光合成で作られる栄養が変化してできるものなので、日当たりの良いところの葉のほうが赤色になり、あまり日の当たらない葉は上に書いた通り黄色になる傾向にあります。

クロロフィルが分解されきる前にアントシアンができ始めると色が混ざって桃色や紫色などに見えることがあります。

このように日当たりやクロロフィルの分解具合などで葉の色は変わります。

光合成で作られた栄養がアントシアンに変わると書きましたが、アントシアンではなく「タンニン」という色素に変わるものもあります。この物質ができると葉は茶色、つまり「褐葉」になります。

 

 

 

 

 

 

ブナ

 

 

 

 

 

 

 

 

ホオノキ

 

枯れた植物も言ってしまえば茶色に見えますが、褐葉した葉はみずみずしいというか、張りがあるというか枯れた葉とは全く違います。

木の種類によって何色に変わるかはだいたい決まっていますが、成長の具合や、日照時間、天候などによって色の変化は違ってきます。

上に書いた通り、葉は決まった一色になるわけではなく、緑・赤・黄・茶色などの色素が混ざり合うことによって様々な色に見えます。
赤一色や黄一色の風景もキレイですが、変化の過程でできるグラデーションもまたキレイです。
当園では様々な樹木を植栽しているので美しいグラデーションをお楽しみいただけます。

この時期は同じ樹木でも2,3日経ってから見るとまた違った表情を見せてくれます。
刻一刻と変化するその時々の風景をお楽しみいただければ幸いです。

長々と書いてしまいましたが、難しい話は置いといてキレイな紅葉を見ながら散策を楽しんでください。
もし、興味が出ましたら植物について色々と調べてみると新しい発見があり、散策が何倍も楽しくなると思います。

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