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2016.10.20 秋の実り4〜イシミカワ・アオツヅラフジ〜

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 ひと時急に冷え込んだ今年の秋ですが,ここ数日はまた夏日に戻っています。それでも植物は順調に実りの秋を迎えています。今日はその中からつる性植物のイシミカワとアオツヅラフジをご紹介します。

 イシミカワはタデ科イヌタデ属のつる性一年草で,東アジアに広く分布し日本各地で見られます。

 この実は青く美しい実で,丸い皿状の苞葉に盛られたようにつきます。(写真1・2)「青い実」と記しましたが,青く見えるのは厚みを増して多肉化したガクであり,本当の実はこのガクに包まれた黒い実です。

 実をつける前に咲かせる花は,同じように苞葉の上につきますが,こちらは緑色でほとんど目立ちません。(写真3=9/17撮影)

 この種の特徴はその美しい実だけではなく,三角形の葉もよく目だっています。(写真4)

 この茎にはトゲがあり,(写真5)このトゲで他の植物にからみつき,そして乗り越えて葉を茂らせます。

 イシミカワという変わった名前の由来は「定かではない」とされていることが多いのですが,その一説として大阪府石見川村に由来する説をご紹介します。この種は中国では「杠板帰(こうばんき)」と呼ばれ生薬として利用されています。そして中国からその種子を持ち帰った弘法大師が,石見川村のある家に一夜の宿泊の礼として,杠板帰の種子と生薬づくりの法を授けたため,やがてこの植物に村の名前がつけられるようになった・・というものです。ただイシミカワに当てられる漢字はいくつもあり,その数だけ説もあるようです。

 同じつる性植物であるアオツヅラフジは,イシミカワとは違った青の実をつけています。(写真6)

 ツヅラフジ科アオツヅラフジ属の落葉木本で,朝鮮半島や中国南部そして太平洋諸島に分布し,日本でもイシミカワ同様ほぼ全土で見られます。

 真夏に咲く花は黄白色でそれほど目立ちませんが,一つの花穂に多くの花をつけます。(写真7=8/7撮影)そして今はブルーベリー状の実をつけていますが,この実は有毒で食べることはできません。

 これらは自生種ですので探せば園内各所で見られるはずです。なおご紹介したものはイシミカワは香りの道からブリスベーンの森に上がる道の途中で,アオツヅラフジはさくら園で見かけたものです。

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