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花・緑情報

酉年にちなんで〜鳥の名前がつく木1〜

2016.12.25 更新









 いよいよ年の瀬が近づいてきました。来る年は酉年。本園でも職員手づくりの尾長鳥の干支飾りを展示しています。(写真1)今日はその酉年にちなんでトリの名前がつく樹木を紹介させていただきます。酉年のトリは本来はこの干支飾りのようにニワトリだそうですが,ニワトリのつく樹木が見当たらないため,鳥類一般でご容赦ください。

 まずは早春に花を咲かせるウグイスカグラです。(写真2=3/2撮影)スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で,北海道南部から九州の山野に自生する日本固有種の植物です。樹高は2mほどですが,よく枝分かれして密に茂ります。(写真3)花は漏斗型で,先が星形に5裂した可愛らしい形をしています。(写真4)

 スイカズラ科に属するため,名前も「ウグイスカズラ」に間違われがちですが,カズラつまりつる性植物ではなく,漢字では鶯神楽です。この名前の由来については諸説ありますが,上記のように枝が密に茂るため,ウグイスが隠れやすい「ウグイスカクレ」となりそれが訛ったというのが一説です。花をウグイスが神楽を舞う姿に例えたという優雅な説もあります。

 ちなみにウグイスはご存じのように春を告げる鳥で,「ウメにウグイス」は早春の代名詞です。ただウグイスのさえずりは繁殖期を迎えた春からですが,ウグイス自体は渡りをせず,一年中同じ場所にいる留鳥です。また藪の中などにいることが多く,あまり人目につくことがありません。「ウメにウグイス」はメジロと混同されていることが多いようです。ウグイスをご覧になったことがない方のためにさえずる姿をご用意いたしました。(写真5=5/6撮影)

 次にご紹介するのはチドリノキです。ムクロジ科カエデ属の落葉小高木つまりカエデの仲間ですが,その葉には同属植物によく見られる切れ込みがなく,カエデらしくありません。(写真6=4/26撮影)どちらかというとカバノキ科のクマシデなどに似た葉です。けれども葉とほぼ同じ時期に咲く花は,ウリハダカエデなどカエデの仲間とよく似ています。(写真7)さらに花の後につける実は,カエデの仲間であることを物語るプロペラ型の翼果です。(写真7)この垂れ下がった翼果の形が千鳥に似ていることが名前の由来です。ただこの千鳥は鳥そのものというより,古来使われている千鳥模様のことのようです。なおチドリの仲間は海岸や川岸などで観察されることが多く,本園では見かけません。

 本園で見られる鳥の名前がつく樹木はこの他にもまだありますが,今日は長くなりましたので,続きはまた明日ご紹介いたします。