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花・緑情報

グミの花と実〜ナワシログミ・アキグミ〜

2014.10.04 更新






 以前,当ページでグミについてご紹介したのは5月のゴールデンウィークの頃でした。それからおよそ半年。季節は進み,その逆のパターンで花と実をつけましたので改めてお知らせします。

 今花をつけているのはナワシログミ(写真1)で,実をつけているのがアキグミです。(写真2)

 ナワシログミはグミ科の常緑低木で,関東地方から九州にかけて分布します。

 花は筒状の小さな花で,先端が4裂しています。(写真3)花弁のように見える部分はガク片で,花弁はありません。

 果実は翌年につき,それが苗代をつくる時期であるためナワシログミと呼ばれています。アキグミの実が丸い形なのに対し,ナワシログミの実はやや細長い形をしています。(写真4=2014/5/6撮影)

 アキグミも同じ仲間ですが,こちらは冬落葉します。花は同じような形ですが,アキグミの方がやや白さが際立ち数も多くつくため華やかな感じがします。(写真5=2014/5/6撮影)

 どちらも食べられる実で,かつては山遊びの子どもたちのおやつでしたが,その渋みがある実は今の子どもたちの口には合わないかもしれません。というよりも「グミ」で頭に浮かぶのは弾力があるお菓子のグミだと思います。ただしお菓子のグミはゴムを意味するドイツ語で,大和言葉であるグミ(茱萸)とは別のものです。

 ナワシログミとアキグミ。同じ仲間でありながら花期と実りの時期がまったく逆なのは,種の保存のための戦略なのかもしれません。