ロックガーデンで咲く花〜ミスミソウ・スハマソウ・キクザキイチゲ〜
2017.03.28 更新
当ページで何度かお伝えしましたが,今年の2〜3月は寒い日が多かったせいか,早春の草花の開花は全体的にゆっくりめです。「春の妖精」カタクリの花も,例年より1週間ほど遅れてようやく目ざめました。(写真1)カタクリについては,もう少し開花が進んでからあらためてお伝えしたく思います。
今日は同じロックガーデンに咲くキンポウゲ科植物の中からいくつかをご紹介します。その一つがミスミソウとスハマソウです。(写真2・3)ミスミソウとスハマソウはキンポウゲ科ミスミソウ属の多年草で,ともにユキワリソウ(雪割草)の名前で呼ばれることもあります。
ミスミソウは北半球に広く分布するヘパティカ・ノビリスの変種の一つで,スハマソウはミスミソウの一品種とされています。
この二つの違いは葉にあり,3つに深く裂けた裂片の先が尖っているのがミスミソウ(写真4)で,裂片の先が丸みを帯びているのがスハマソウです。(写真5)ただこの中間型のものもあり,はっきりした分類は困難です。なおこれらの名前はこの葉の形からきており,三角形のミスミソウ(三角草)に対し,州浜台(婚姻儀式などに使われる台)に似て丸みを帯びているのがスハマソウ(州浜草)というのが名前の由来のようです。
花弁のように見えるガク片は,白から青系そして赤系など様々な色の変異があります。これは太平洋側のものに白系が多く,日本海側に分布するものは色が多彩という違いがあるようです。
そしてもう一種,今咲いているものにキクザキイチゲがあります。(写真6)
キクザキイチゲはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で,北海道と近畿地方以北の本州に分布し,落葉広葉樹林の林床などで生育します。本園で見られるものは白ですが,こちらも紫系など色の変異があるようです。
花弁のように見えるガク片は多数あり,(8〜13枚ともいわれますが,それより多かったり少なかったりと変異が大きいようです)咲き方がキクに似ていることからキクザキイチゲと呼ばれています。(写真7)
ロックガーデンではまだこれからも次々と花が咲いてくるはずです。ご来園の折にはぜひこれら春の花をお楽しみください。