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花・緑情報

冬のバードウオッチング12〜イカル〜

2017.02.21 更新







 寒い朝となりました。朝方の雪でうっすら雪化粧をした樹上で,アトリの群れが実をついばんでいました。今日はこのアトリと同じように大きな集団をつくる鳥イカルをご紹介します。(写真1)

 イカルはアトリ科イカル属に分類され,ヒヨドリぐらいの大きさでずんぐりとした灰色の鳥です。(写真2)ここ六甲山系では留鳥とされていますが,その姿が目立つのは秋から早春にかけてです。これは高い木の上にいることが多く,(写真3)葉がない時期の方が見つけやすいのかもしれませんが,他の場所から越冬のため移動してきた可能性もあります。

 繁殖地はロシアの沿海州から北海道・四国・九州などで,主に国内で繁殖しますが,北日本の個体は冬季に本州以南に移動することがあるようです。

 その特徴は大きく黄色いクチバシで,(写真4)木の実や種を噛み砕きます。様々な実をクチバシ一杯にくわえる姿が見られます。(写真5=ヌルデの実をついばむ姿)風切羽の一部は濃い紺色で白斑があります。(写真6)

 イカルというちょっと変わった名前については,「奈良の斑鳩(いかるが)に多くいたから」という説がありますが,イカルが群居していたから斑鳩になったという逆の説もあり定かではありません。ただ斑鳩という文字からはイカルとなんらかの関係があることがうかがえます。ちなみにイカルは別の漢字で「鵤」と書きますが,これは角のような丈夫なクチバシを持っていることを表しています。名前の由来として斑鳩以外に「鳴き声が怒っているように聞こえる。」(怒る)とか,「鳴き声がイカルコキーと聞こえる。」など鳴き声由来のものもあります。この説の正否はともかく,澄んだ美しい声の持ち主であることは確かです。

 イカルは多目的広場外周でよく姿を見かけます。少し大型の鳥が集団で羽を休めていたら,それはイカルの可能性大です。一羽が逃げると一斉に飛び立ってしまいますので,少し離れてご観察ください。