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花・緑情報

ウメ

2017.02.17 更新






 明日は二十四節気の雨水です。雪から雨に,氷から水に変わるころとされています。今日はそれに合わせたような暖かな雨の一日です。そして早春の雨に育まれるかのように,天津の森南側斜面でウメが少しずつ開花しています。(写真1・2)

 「東風吹かば 匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」(菅原道真 拾遺和歌集)

 春を代表する花の一つであるウメは,古くからその風情を愛されてきました。学問の神様として祭られる菅原道真がこよなく愛したその花は,全国の天神社に植えられ,早春の香りを人々に届けています。

 中国中部を原産地とするバラ科ウメ属の落葉小高木で,その渡来は奈良時代といわれ,万葉集にも多く詠まれています。

 多数の園芸品種があり,花弁の色も白から淡いピンクそして濃い赤など,花弁の数も5弁から八重のものまで多種あります。その原種は白で5弁のようです。いずれの種も長く伸びて多数ついているオシベがよく目立ちます。(写真3・4)そして姿だけでなく,上品で馥郁たる香りも人々から親しまれています。

 花や香りが愛でられるほか,その果実も梅干しや梅酒など多方面に利用されています。(写真5=2016/6/18撮影)江戸時代に各藩が非常食として梅干しをつくることを奨励したため,梅林が全国で見られるようになったとのことです。

 今のところまだ全体としては1分咲きくらいですが,木によっては開花が進んでいるものもあります。早春の風情と香りをお楽しみください。