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花・緑情報

冬のバードウオッチング3〜ミヤマホオジロ〜

2017.01.19 更新







 日陰では先日来の雪がまだ残っているものの,今日は比較的穏やかな一日です。柔らかな冬の日差しの中,落ち葉を踏みしめるカサコソという音が冬の森の風情を感じさせます。そしてその落ち葉の中から,落ちた実などの餌を探す鳥たちも見られます。その一つがミヤマホオジロです。(写真1)

 ミヤマホオジロはホオジロ科ホオジロ属に分類される渡り鳥で,スズメを少し大きくしたぐらいの大きさです。夏に中国東北部やロシアのウスリーそして朝鮮半島などで繁殖し,冬になると本州の中部以西・四国・九州に飛来してきます。東日本でも越冬しますが数は少ないようです。

 冠毛と喉まわりの黄色そして目の周りの黒との対比が鮮やかですが,(写真2・3)これはオスで,メスは冠毛の黄色が薄く,喉まわりはさらに薄くなっています。また目の周りは茶色でオスに比べるとやや地味な印象を受け,どちらかというと近縁のカシラダカに近い色合いです。(写真4)

 食性は雑食性で虫なども食べるようですが,植物食の傾向が強く,園内でもススキやハギの実などを食べる姿が見られます。(写真5)また前述のように,地面に下りて落ち葉の間から餌を探す姿もよく見られます。(写真6)これは同じホオジロ属のホオジロやカシラダカと同じ採餌行動で,これらの鳥との混群も見られます。

 ミヤマ(深山)の名前からは奥深い山の中にいる印象を受けますが,越冬地では平地から山地にかけて棲息し,人里近くでも見られます。この名前は「日本では繁殖せず,遠い所からやってくる」といった意味合いのようです。ただ現在ではわずかではありますが,中国山地や対馬など国内での繁殖も観察されています。

 ミヤマホオジロは,本園ではさくら園や長谷池周辺そして香りの道など比較的広い範囲でご覧いただけます。鮮やかな黄色がおしゃれな野鳥との出会いをお楽しみください。