トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

シモバシラ

2017.01.14 更新






 今日1月14日本園恒例の「とんど」が行われました。雪の予報が懸念されましたが,午前中は青空が広がる好天気で,震災で犠牲になった方々の鎮魂そして皆様方のご健康・ご発展などの祈りを込めて,炎は空高く燃え上がりました。(写真1)

 天気のよい朝ではありましたが,冷え込みは予報通りで,朝の気温は−1.5℃とこの冬最低を記録しました。そしてこの寒さで展示館前の植込みにあるシモバシラが見事な氷の花を咲かせました。(写真2)

 シモバシラはシソ科シモバシラ属の多年草で,関東以西の本州から九州にかけて分布し,山地の日陰に生育する日本固有種の植物です。

 まだ夏の気配が残る9月初旬からつけ始める白い花は,横向きにそして偏ってつくという少し変わった咲き方をします。(写真3・4=2016/9/4撮影)

 冬になると茎は枯れますが,根が活動を続け枯れた茎の道管に水を吸い上げ続けます。そして,枯れた茎が縦に割れたわずかな隙間から水分が滲み出し,それが氷点下の寒さに遭うことで氷の結晶になります。(写真5)それがこの現象で,植物の名前にもなっています。

 この現象は晴れて風の弱い早朝に起きるようです。そして昼前には溶けて消えてしまうことが多いはかないものです。(今日は寒さのせいか昼を過ぎても残っていましたが・・)また根が凍ったり道管が傷んだりすると見られなくなります。冬の限られた期間それも限られた時間帯でしか見られない不思議な現象ですので,条件に合う日のできるだけ午前中を選んでご覧ください。