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花・緑情報

冬のバードウオッチング2〜アトリ〜

2017.01.13 更新








 週末からは寒波の影響で雪の予報も出ています。それでも今日は風は冷たいものの,すっきりと晴れ上がった気持ちのよい一日です。野鳥も元気に木の実などをついばんでいます。今日はその中から大きな群れをつくる鳥アトリをご紹介します。(写真1)

 アトリはアトリ科アトリ属に分類される渡り鳥で,ユーラシア大陸北部の,西はスカンジナビア半島から東はカムチャッカ半島にいたるまでのタイガ地帯で繁殖します。そして秋になると南下し,北アフリカ・ヨーロッパ・アジアで越冬します。日本には山形や富山などの日本海側に飛来し,それから全国各地に散らばっていくようです。

 本園に飛来する冬鳥の中では比較的早く姿を現す鳥で,今年も11月半ばにはアキニレの実をついばむ姿が見られました。(写真2=2016/11/17撮影)

 雌雄は別色で,メスは茶色の頭部にリング状の黒い冠のような毛があります。(写真3)オスの夏羽は黒の色が強く,メスとはっきり区別できます。(写真4=2016/4/14撮影)このように比較的遅く残っている個体は夏羽が確認できます。冬羽はメスと区別しにくい個体もありますが,頭部が黒いものはオスと考えてよさそうです。(写真5)

 本園では主にアキニレやイロハモミジなどの翼果(写真6=アキニレ)を好んで食べていますが,本来は雑食性で昆虫類やクモなどの節足動物も食べるそうです。

 最初にも挙げましたがこの鳥の特徴は群れをつくることです。(写真7)ねぐらに向かうのか,夕方大群で飛ぶ姿を見かけることもあります。繁殖地に渡る直前には数万羽になることもあるようです。

 この鳥の名前であるアトリというちょっと変わった名前もその群れをつくるという性質に由来しているようで,「集まる鳥」という意味の集鳥(あつとり)が変化したとする説が有力なようです。(秋にやってくる秋鳥を語源とする説もあります)漢字で花鶏と書くことがありますがこれは中国名です。群れて飛ぶ姿を枯れ野に咲く花に例えたものでしょう。

 アトリは園内各所で見られます。樹上で群れて実をついばむ鳥が見つかれば,それがアトリである可能性が高いと思われます。時には地面で餌を探すこともありますが,基本は見上げてお探しください。