トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

鮮やかな赤い実をつける木々

2016.12.06 更新








 リガの森から香りの道に入ると,いきなり鮮やかな赤い実が目に飛び込んできます。(写真1)これはイイギリの実です。イイギリはヤナギ科(旧イイギリ科)イイギリ属の落葉高木で,山地に生え樹高は15m〜20mぐらいになります。白っぽく皮目(ひもく=気孔に代わって空気の流通に役立つ組織)が目立つ樹皮が特徴的な木です。(写真2)

 ブドウの房のように付いている実はツグミやヒヨドリなどの野鳥が好み,今日もヒヨドリが盛んに実をついばんでいました。(写真3)

 名前にキリとついていますがキリ(桐)の仲間ではなく,その材が白くて柔らかくキリに似ていることからその代用に使われたためこう呼ばれています。またかつてその大きな葉でご飯を包んだことで飯(イイ)桐と名付けられたとのことです。

 香りの道を進むと,道のすぐ脇に,これまた鮮やかな赤い実をつけた樹木に出会います。(写真4)これはカナメモチです。

 バラ科カナメモチ属の常緑小高木で,本州中部以南の暖地に生育します。半球状の集散花序につく実は艶やかで,葉の緑と美しい対比をなしています。(写真5)

 幹が硬く材として器具の柄などに利用され,扇の要にも使われるためカナメ(要)モチと呼ばれるようになったようです。モチはモチノキに似ていることに由来します。

 その新芽も赤く美しいことから生垣などにも利用されています。本種と近縁種であるオオカナメモチとの雑種であるレッドロビンは,本種よりも新芽が赤く強健であるため,さらに多く生垣に使われています。

 そしてもう一つ,赤い実をたくさんつけているのがタラヨウです。(写真6)

 モチノキ科モチノキ属の常緑高木で,本州の静岡以西から九州にかけて分布しています。

 この種の特徴はその葉にあり,葉の裏面を傷つけると字が書けます。園路の葉の裏を見ても字が書かれたものが見られます。(写真7)このことから葉書の語源ともいわれています。

 これら秋の実りも落果したり鳥たちの餌になったりと徐々に少なくなってきます。厳冬期を迎えるまでのひと時,秋の名残りをお楽しみください。