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花・緑情報

ナギイカダ

2016.12.05 更新






 先日見本園で咲くイチゴノキについてお知らせしましたが,今日はその近くで小さな小さな花を咲かせているナギイカダをご紹介します。(写真1)

 ナギイカダはキジカクシ科スズラン亜科ナギイカダ属の常緑低木で,地中海沿岸地方を原産地とし,日本には明治初期に渡来しました。

 特徴的なのはその葉に見える部分で,鋭く尖るとともに真ん中に花をつけています。(写真2)その学名Ruscus aculeatusのaculeatusは「刺のある」という意味です。

 「葉に見える」というのは,この部分が枝の変化したもので葉状枝と呼ばれています。実際の葉は退化して鱗片状になっておりほとんど目立ちません。

 花は花被片が6枚で外側の3枚が大きくなっています。(写真3)この種は雌雄異株でありこの花は雌花です。その証拠に赤い実をつけている葉状枝もあり,花と実の両方をご覧いただけます。(写真4)

 ナギイカダの名前はこの葉状枝がマキ科のナギに似ていること,そして葉に花をつけた様子がハナイカダに似ていることに由来するようです。ただハナイカダは花柄が葉の中央脈に合着したもの(写真5=ハナイカダ雌花5/5撮影)であるのに対し,本種はもともと枝である部分から花が出ているため,成り立ちは全く別のものです。

 前述のようにナギイカダの可愛らしい花と実は見本園でご覧いただけます。花に似合わない鋭いトゲに気をつけてご覧ください。