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花・緑情報

ヒイラギ

2016.11.27 更新







 今日日曜日は雨の一日となりました。時折強く降る雨は紅葉ちらしの雨になるかもしれません。

 さて今日は冬の花,漢字で木偏に冬(柊)と書くヒイラギをご紹介します。

 ヒイラギはモクセイ科モクセイ属の常緑小高木で,福島県以西の本州から沖縄にかけて分布します。

 花は葉の脇に密生してつきます。(写真2)一つ一つの花は花弁が4つに分かれており,丸まったように反り返っています。花から飛び出した2本のオシベが目立っていますが,この種は雌雄異株であり,この木が雄株であることを表しています。(写真3)この花にはほのかな香りがあります。

 同属でヒイラギ同様に庭木として利用されるものにギンモクセイ(写真4=9/28撮影)やヒイラギモクセイ(写真5=10/4撮影)などがありますが,花の時期は違うもののいずれも花のつき方はヒイラギとよく似ています。なお初秋の香りを代表するキンモクセイはギンモクセイの変種であり,ヒイラギモクセイはヒイラギとギンモクセイの雑種といわれています。香りについては,ヒイラギよりもギンモクセイやヒイラギモクセイの方が強い香りを持っています。

 ヒイラギを特徴づけているのはトゲのある分厚くつやのある葉で,(写真6)これは鋸歯が変化したものです。ちなみに上記ギンモクセイの葉には鋸歯がありますがそれほど鋭いものではなく,ヒイラギモクセイのトゲのある葉はヒイラギから受け継いだようです。このトゲに触れるといたいため,侵入防止を目的として生け垣などにも利用されています。節分にヒイラギを飾る習慣も,このトゲで鬼を入れないようにするためといわれています。ヒイラギの語源も(刺さると)ズキズキするほど痛いということを表す古語「ひいらぐ」からきているといわれています。

 ヒイラギの花は見本園内,コナラ広場のすぐ近くでご覧いただけます。冬の気配を感じさせる花で移ろいゆく季節をお感じください。