キチジョウソウ
2016.10.18 更新
春4月,華やかな花々に包まれていたつつじ・しゃくなげ園も今は静かに次の春を待っています。その園路の一画の草むらに隠れるようにして美しい花が咲いています。それがキチジョウソウです。(写真1)
キチジョウソウは旧分類ではユリ科とされていましたが,APG体系ではキジカクシ科に分類されるキチジョウソウ属の多年草です。林内などの陰地に自生し,関西以西の本州・四国・九州に分布しています。
花は下から順に咲きあがるため,上の方につぼみが残ったものも見られます。(写真2)
6枚ある花被片は反り返っており,6本あるオシベが目だっています。(写真3)一つの花穂に雄花と両性花をつけるため,メシベがないものもありますが,探せばオシベの中心に1本のメシベをつけた両性花が見つかります。(写真4)
花が終わったあとにつける実は,赤紫のコロッとした可愛らしい実です。(写真5)この実は液果(液汁が多い実)で,熟して動物に食べられることで拡散します。
キチジョウソウは漢字では吉祥草で,吉祥(「きっしょう」とも読みます)は「よい事の兆し」つまりこの花が開花すると吉事がある,また吉事があった時に開花するといわれています。
なぜこの花が良い事の兆しなのかははっきりしませんが,葉に隠れて探しにくい花(写真6)を探し当てた喜びなのかもしれません。
この花をご覧になった方,また当ページをご覧いただいた皆様方に良きでき事が訪れることを祈念しております。
なおキチジョウソウは少しでしたらルピック前の花壇でもご覧いただけますが,お時間に余裕がある方はつつじ・しゃくなげ園までお運びいただき,探し当てた喜びも味わっていただければと思います。