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花・緑情報

キノコの季節〜タマゴタケその他〜

2016.09.27 更新








 今日は晴れましたが,ここしばらくの雨で地面はたっぷりと水分を含んでいます。そのせいか,日照りが続いた夏には姿を見せなかったキノコがあちらこちらで顔を出しています。沢の池の近くの園路沿いでは,可愛らしいタマゴタケが姿を見せています。(写真1)

 タマゴタケはテングタケ科テングタケ属に分類されるキノコで,日本ではほぼ全土に見られるほか,中国や北アメリカ,オセアニアにも分布しています。

 夏から秋にかけてシイやナラなどの広葉樹,モミやマツなどの針葉樹の林内に生育します。そしてこれらの木々の根に菌糸を侵入させ,菌根を形成し共生生活を送るようです。

 最初は厚くて白い外被膜に完全に包まれていますが,(写真2)やがて頂部が割れて開き,カサや柄が伸びてきます。カサは釣鐘状から半球形を経て,ほぼ平らに開きます。成長すると浅い皿状にくぼむこともあり,径は10cm以上になります。(写真3)

 タマゴタケは食用にされるキノコとして知られていますが,逆に有毒キノコとして知られるベニテングタケと外観が似ており,ベニテングタケに見られるカサの白いいぼが雨などのために脱落すると,さらに識別が難しくなります。

 そのタマゴタケの近くで,枯れ葉を持ち上げるように顔を出しかけているのは,シロハツの幼菌と思われます。(写真4)これも食用になるキノコですが,よく似たシロハツモドキは毒性があるとのことですので要注意です。

 青葉トンネル手前の林内ではサンゴのように見えるキノコが顔を出していました。これはカレエダタケと思われます。(写真5)またその近くでは柄に特徴があるキノコが見られました。これはその特徴からセイタカイグチのようです。(写真6)この個体はセイタカ(背高)の名前の割には大きくなく,まだ幼菌のように見えます

 この西門を経由するルートではまだほかにも多くのキノコが見られます。秋草散策とともにキノコ散策も一興かと思われます。なお森林展示館2Fでは,只今御影高校環境科学部生物斑の皆さんが集めたキノコを展示した「六甲山のキノコ展」を開催中です。(写真7)ぜひ合わせてご覧ください。