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花・緑情報

秋の実り1〜ヤマボウシ・ヒマラヤヤマボウシ〜

2016.09.26 更新







 今日も秋雨前線の影響で雨模様の一日です。雨が降らなかった夏から一転,雨続きになりましたが,木々を潤し実りを育む雨です。その実りの一つに赤く色づいたヤマボウシがあります。(写真1)

 ヤマボウシはミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木で,朝鮮半島や中国,台湾などに分布しています。日本では本州から九州にかけての山地に生育します。

 初夏,枝一杯に白い花をつけますが,(写真2=5/26撮影)花びらに見える白い部分は総苞と呼ばれる葉に近いものです。花は中心にある淡黄色も部分で,小さな花が球状に集まっています。

 そして花に時期から1年の三分の一が過ぎた今,赤く熟した実をたくさんつけています。(写真3)この実は甘く食用になります。この甘さを「マンゴーのよう」と評する人もいます。また生食だけでなく果実酒の材料としても適しているようです。

 このヤマボウシの近縁種であるヒマラヤヤマボウシも実をつけています。(写真4)その名前が示すように,中国南部やネパールなどヒマラヤ周辺を原産地としています。ヤマボウシの実がほぼ球状であるのに対し,本種の実はややいびつな形で,なによりもずっと大きいという特徴があります。(写真5=左ヒマラヤヤマボウシ右ヤマボウシ)ちなみに資料によるとこの実も食べられるとのことです。

 ヒマラヤヤマボウシとヤマボウシを比べると,花の形状はあまり変わりませんが,ヤマボウシが落葉樹なのに対し,ヒマラヤヤマボウシは常緑樹です。

 ヤマボウシは香りの丘や北アメリカ区ほか園内各所で見られますが,香りの道ならば眼前で実もご覧いただけます。ヒマラヤヤマボウシは沢の池の前に3本の木があります。(写真6)高木のため直接実を見ていただくのは難しいですが,木の周りを見ていただくと落果をご覧いただけます。