秋分の日〜シュウブンソウ・ヒガンバナ〜
2016.09.22 更新
暑さ寒さも彼岸まで・・といわれますが,森林植物園の12時現在の気温は22℃とすっかり秋めいてきました。今日は秋分の日,秋のお彼岸(中日)です。天気は今一つですが,お墓参りに行かれた方も多いのではないでしょうか。
今日はこの日にちなんだ名前を持つシュウブンソウ(秋分草)とヒガンバナ(彼岸花)をご紹介します。
シュウブンソウはキク科シオン属の多年草で,関東以西から琉球列島そして東南アジアなど暖帯から熱帯にかけて分布しています。
直立した茎が数本の枝に分かれ,葉の脇に目立たない花をつけます。(写真1・2)花は虫めがねで見ないと分からないぐらいの小さな花ですが,よく見るとキク科植物らしい筒状花と舌状花を備えています。(写真3)外側を取り巻く白い部分が舌状花で,2列にならんでおりメシベだけを持つ雌性花です。その内側にある筒状花は先が5裂しています。この花はオシベとメシベを備える両性花です。
秋分の日を代表するような名前が,なぜこのあまり目立たない花につけられたのかは定かではありません。ただ毎年この時期を知っているかのように咲くことは確かです。
同じく多少の前後はあるものの,この日に合わせたかのように咲くのがヒガンバナです。(写真4)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で日本全土で見られます。ただ元々自生していたのではなく,古い時代に中国から渡来し,帰化したものと考えられています。
長めの花柄を持つ花を輪状に咲かせます。(写真5)一つ一つの花は花弁が6枚で,縁が縮れて外側に反り返っています。(写真6)飛び出したシベが目だっていますが,オシベの葯が落ちるとオシベ・メシベの区別が難しくなりますが,咲き始めを見ると,6本あるオシベの赤い葯がよく分かります。メシベはその上につき出すように伸びています。(写真7)
白い花もありますが,(写真8)これは単なる色違いではなく,黄色いショウキラン(ショウキズイセン)とヒガンバナの交雑種といわれています。
田畑の畔などでよく見られますが,これは有毒である鱗茎を嫌うモグラや虫などが土手を掘り返したり,作物を荒らしたりするのを防ぐために植えられたものといわれています。
ヒガンバナは薬樹園で,シュウブンソウは園内各所でご覧いただけます。いかにも秋らしい名前を持つ花で本格的な秋をご堪能ください。