処暑の候〜ヌルデ・タラノキ〜
2016.08.23 更新
今日8月23日は二十四節気の処暑,そろそろ暑さが和らぐ頃とされています。けれども酷暑の今年はすぐには秋めきそうにもありません。それでもツクツクボウシの大合唱が夏の終わりを告げています。
今日は晩夏に花盛りを迎えている木々をご紹介します。
一つは園内各所で見られるヌルデです。(写真1)ヌルデはウルシ科ヌルデ属の落葉高木で,東アジア各地に自生しています。ウルシの仲間ですがあまりかぶれることはないようです。それでもまれにはかぶれることもあるようですので,特に敏感な方はご用心ください。
枝先から円錐の花序をだし,小さな花をつけます。(写真2)雌雄異株で白い5弁花をつけますが,一つ一つを見るとなかなか美しい花です。(写真3=雌花)
この樹木を特徴づけるものの一つは葉軸に翼があることです。(写真4)葉軸に翼がある植物はほかにもありますが,ヌルデは荒地に真っ先に生育する先駆植物であり,よく見られる植物で翼を持っているのはこの種が多いようです。
ヌルデの名前は幹から採れる白い汁を塗料(ヌテ)として使ったこと,またその汁がヌルヌルしていることに由来するとされています。
もう一つはさくら園周辺でこれも白い花を咲かせているタラノキです。(写真5)ウコギ科タラノキ属の落葉小高木で,ヌルデ同様東アジアに分布します。
ヌルデが円錐形に花をつけるのに対し,タラノキは上に広がるように花をつけます。(写真6)
4月末ごろにつけるその新芽は「タラノメ」と呼ばれ,ほのかな苦みともっちりとした食感を持ち,春の味を代表する山菜の王様とも呼ばれています。(写真7=)今は栽培されることが多くなり,季節感も薄れていますが,やはり春を感じさせる味に変わりはありません。
タラノキの名前は同じ山菜であるウドが朝鮮語名を語源として「ツチタラ」と呼ばれ,その名がこの木に転じたといわれています。
そろそろ涼しい風が恋しくなるこの時期,爽やかな白い花が秋を予感させてくれます。