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花・緑情報

金メダルを祝って〜キンミズヒキ・ミズヒキ〜

2016.08.19 更新









 リオ・オリンピックも終盤となりました。これまで眠れぬ夜を過ごされた方も多いと思います。日本選手団は昨日から女子レスリング,バドミントンなどで金メダルラッシュです。そこでこの快挙を祝って,金にまつわるキンミズヒキとその名前のもとになったミズヒキをご紹介します。ミズヒキも慶事に使われる水引に由来するおめでたい名前です。

 キンミズヒキはバラ科キンミズヒキ属の多年草で,日本から東ヨーロッパにかけて広く分布しています。

 盛夏の頃から茎の先に細長い花穂を出して,黄色い花をたくさん咲かせます。(写真1・2)花はバラ科植物らしい5弁花で,花弁の間から5枚のガク片が顔をのぞかせています。オシベは10本以上あります。(写真3)

 キンミズヒキ(金水引)の金はその花の色に由来していますが,ミズヒキとは別科で植物的な縁はありません。その名は,共通する長く伸びた花穂の姿からつけられたようです。

 ミズヒキはタデ科タデ属の多年草で,日本ではほぼ全土に分布し,山野の林縁などに自生します。ただ南西諸島では稀で,沖縄では絶滅危惧種1A類に指定されています。

 長く伸びた花穂にポツリポツリと花や実をつけますが,(写真4)花はとても小さく横向きにつきます。4弁の花被片は上3枚が赤,下1枚が白の美しい取り合わせとなっています。これが紅白の水引を思い起こさせることが名前の由来です。(写真5)そしてその姿かたちが古くから愛でられ,茶花や生け花としてよく利用されています。

 ミズヒキは葉に八の字のような模様があるのも特徴で,(濃い薄いがあります)花をつけていなくてもその存在が分かります。(写真6)

 上記のようにキンミズヒキ・ミズヒキは近縁種ではありませんが,長く伸びた花穂以外にも共通点があります。それは実が「ひっつき虫」であることです。

 ミズヒキの実は花同様とても小さなものですが,実から伸びた花柱の先がフックになっており,(写真7)これで人や動物にくっつきます。またミズヒキの実はトゲが沢山出ており,よく見るとそれぞれの先がこれもかぎ状になっています。そのため簡単に衣類などにくっつきます。(写真8)地方によってはヒッツキグサの別名で呼ばれています。

 この2種は自生種のため園内各所でご覧いただけます。金メダルを祝うとともに,ご家庭で慶事があることを願って晩夏の花をお楽しみください。