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花・緑情報

セイヨウニンジンボク

2016.08.18 更新






 セミしぐれが降り注ぐ毎日ですが,少しずつツクツクボウシの声が増えてきています。猛暑の夏ではありますが,秋も着実に近づいてきているようです。そんな中香りの丘ではセイヨウニンジンボクが爽やかな色の花を咲かせています。(写真1・2)

 セイヨウニンジンボクはシソ科ハマゴウ属の落葉低木で,南ヨーロッパから西アジアを原産地とし,日本には明治中期に渡来したといわれています。

 枝先から円錐形の花序をだし小さな花をたくさんつけます。(写真3)一つ一つの花はシソ科植物特有の唇形をしていますが,一方の裂片が長く伸びているのが特徴的です。そしてその薄青色は透き通るような美しさです。(写真4)

  この名前は中国原産のニンジンボクと同属の近縁種であることと,ヨーロッパを原産地とすることからきていますが,ニンジンボクはオタネニンジン(高麗人参)と葉が似ていることに由来しています。たしかにセイヨウニンジンボクもオタネニンジン同様に,輪生した掌状複葉の葉を持っています。(写真5)ただしウコギ科草本であるオタネニンジンと植物的な縁はありません。

 ヨーロッパでは古くからその果実を薬用や香辛料として利用していたそうです。今は世界的に栽培され,健康食品やハーブティーとして利用されています。そのコショウに似た実はホルモンのバランスを整える効果があるそうです。

 秋の気配も少しずつ増してきてはいますがまだ暑さは続きそうです。この花の爽やかな色で一服の涼をお楽しみください。