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花・緑情報

季節に先駆けて2〜カワラナデシコ・オミナエシ〜

2016.07.31 更新







 「草の花は撫子 唐のはさらなり 大和のもいとめでたし。」枕草子に語られた大和撫子であるカワラナデシコが花を咲かせています。先日秋の七草から2種をご紹介しましたが,7月の終わりの今日,このカワラナデシコともう1種をご紹介します。

 カワラナデシコはナデシコ科ナデシコ属の多年草で,その優美な姿が古くから親しまれ,枕草子でも「草の花は」(第六十四段)の冒頭に記されています。(写真1)

 柔らかなピンクの花は5弁花で,その縁が細かく切れ込んだ特徴的な姿をしています。(写真2)この花弁に目がいってあまりオシベやメシベは目立ちませんが,2本あるメシベには細かな毛が生えています。オシベは10本です。(写真3)

 サッカー女子日本代表の愛称,なでしこジャパンで子どもたちにも知られるようになりましたが,古来大和撫子は日本女性の美称として使われてきました。ちなみに枕草子に「唐のは・・」と語られた唐撫子はセキチクのことです。河原などに多いことからカワラがつけらてており,ナデシコは「我が子を撫でるように可愛い花」からきているようです。

 そして「草の花は」でナデシコの続きにくるのが女郎花(オミナエシ)です。(写真4)

 オミナエシ科オミナエシ属の多年生草本で,ほぼ全国に分布し山野や土手に自生します。

 花の姿全体は茎の上部で枝分かれして,花茎の上部がほぼ平らになります。(写真5)花は合弁花ですが,先が5つに分かれてつき出したオシベが目だっています。(写真6)

 オミナエシの名前はオミナ(女性)とヘシ(圧し)を合わせた言葉で「美女を圧倒する」というような意味がある・・という説もあります。

 カワラナデシコ・オミナエシともにさくら園でご覧いただけます。夏本番ではありますが,立秋ももうすぐです。可憐な花で秋の足音をお感じください。