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花・緑情報

コマツナギ

2016.07.29 更新






 さくら園やシアトルの森などの日当たりのよい園路沿いに小さな円錐形の可愛らしい花が咲いています。これは「コマツナギ」という植物です。(写真1)

 マメ科コマツナギ属に分類され,日当たりのよい原野,道ばたなどに生育します。株を見ると一見草本に見えますが成長した個体の根元を見てみると立派な木です。(写真2)大きくなると1m近くになります。道路の斜面地などに似た花を咲かせる2mを超えるような木を見ることがありますが,これは近縁種のトウコマツナギで,緑化のために植栽された中国原産種です。

 葉の腋から円錐花序を出し,ピンクの花を咲かせます。(写真3)その一つ一つの花を見ると,マメ科植物らしい蝶形花です。(写真4)この花の構造につきましては,少し前にヤマハギをご紹介した折に説明させていただきました。この花には白いものもあるようですが,本園では確認しておりません。

 秋には実をつけますが,これもマメ科植物特有の豆果です。(写真5=2015/12/8撮影)この実は長く枝に残るものもあり,花の横で実が見られる場合もあります。

 コマツナギは漢字で「駒繋ぎ」つまり馬を繋いでおけるほど枝が丈夫だということが名前の由来になっています。また根が丈夫で引っ張っても抜けないことを語源とする説もありますが,おそらくその両方なのでしょう。

 コマツナギは園内各所でご覧いただけます。上記以外にも青葉トンネル手前の園路にも多く見られます。道ばたの可愛らしい花をお楽しみください。