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花・緑情報

花盛りの後〜ヤブデマリ・モクゲンジ〜

2016.07.26 更新








 春,冬の眠りから目覚めた木々は次々と花を咲かせてきました。それらの木々は順に実をつけ,その命をつなごうとしています。今日は花盛りの後にたくさんの実をつけている木々をご紹介します。

 初夏,世の中がゴールデンウィークで賑わう頃,つつじ園からしゃくなげ園にかけて白い雲がたなびくように白い花をさかせていたのがヤブデマリです。(写真1=5/2撮影)

 スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木で,沢などの水辺や湿り気のある林縁に自生します。同じ時期に大きな手まり咲きの花を咲かせるオオデマリの野生種(原種)です。この花の特徴はその装飾花で,5弁のうち1枚が極端に小さく,なんとも愛嬌のある形をしています。(写真2)

 そのヤブデマリが今,目にも鮮やかな実をつけています。(写真3)個々の実を見ても美しいのですが,上向きの果序が整然と並んだ姿は一段と見応えがあります。(写真4)同じ仲間のガマズミの実は果実酒などとして食用にも利用されていますが,この美しい実は食用には適さないようです。この実はさらに成熟すると黒くなります。

 ついこの間まで天津の森で華やかに黄色い花を咲かせていたモクゲンジは,(写真5)英語名「Golden rain tree」の通り金色の雨のように花を落としました。そして今は花に代わって満艦飾の実をつけています。(写真6)

 ムクロジ科モクゲンジ属の落葉高木で,枝先の円錐花序に黄色い小花をたくさんつけます。上記の金色の雨はこの小花が落花する様子を表したものです。今はその円錐花序に袋状の実をたくさんつけています。(写真7)この実は果皮が3片合わさってできており,そのブロックごとに1つずつ実が入っています。この実は熟すと黒くて堅くなり,数珠(じゅず)玉として利用されます。そのような仏教との関わりから,仏教の聖木であるボダイジュの名が与えられ「センダンバノボダイジュ」の別名で呼ばれることがあります。

 花を咲かせ実をつけそれがだんだんと成熟していく,真夏の太陽が照りつけるさ中も木々は生命の営みを続けています。