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花・緑情報

ウオトリギ

2016.07.21 更新






 ウオトリギ・・といっても,この樹木の花や実が思い浮かぶ方はあまりおられないと思います。漢字で書くと「魚捕木」つまり魚を捕る木で,かつてはこの木の毒で魚を捕ったのが名前の由来のようです。あまり見ない木なのは日本には自生せず,台湾や中国などに分布し,日本での植栽が少ないためです。

 本園では長谷池に向かう園路沿いに2株ほどが植栽されており,今花期を迎えて白っぽい花を咲かせています。(写真1・2)

 もとはシナノキ科に分類されていましたが,APG分類体系ではシナノキ科のほとんどがアオイ科とされており,ウオトリギもアオイ科ウオトリギ属に分類されています。

 高さ1〜2mほどの落葉低木で,6〜7月に集散花序を出し5弁の花を咲かせます。(写真3)

 花はメシベが目だっていますが,(写真4)これはオシベが未発達なためで,逆にオシベが目立つもの(本園にはありません)はメシベが退化しています。このウオトリギははっきりとした雌雄別株ではなく,両性花ながら雄花的な花をつける株と雌花的な株があるようです。

 秋には美しい実をつけますが,(写真5=資料画像)この実はヒョウタンボクの仲間のように2つくっついた実で,それがさらにくっつき4つで一塊になっています。ただこの実がヒョウタンボクのように有毒なのかは定かではありません。

 今はこの木を使って魚を捕ることもないでしょうが,自然とともに生きてきた時代を名前に残す珍しい木です。