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花・緑情報

水辺の風景〜長谷池のほとり〜

2016.06.25 更新







 激しい雨は上がりましたが,時折雨が落ちる梅雨空が続いています。蒸し暑い日ですが,平地より気温が低い森林植物園では散策日和です。中でも涼やかな風が吹く長谷池周辺は,水生植物と涼を求める方々で賑わっています。今日は雨後の長谷池周辺の生き物や風景をご紹介します。

 花期を終えたカキツバタの葉でピンクのバッタが見られました。(写真1)このバッタはヒロバネヒナバッタという山地で普通に見られる種のようです。通常はこげ茶色っぽい色ですが,この個体は時折この種に見られる色素異常個体と思われます。

 雨が好きなモリアオガエルも顔を出していました。(写真2)樹上に泡状の卵塊を産むことで知られています。(写真3)今年も本園の3つの池でいずれも卵塊が見られました。このカエルは日本固有種で山地などで生育します。近縁のシュレーゲルアオガエルとよく似ていますが,モリアオガエルの方が大きく,目が赤みがかっているのが特徴です。

 鮮やかな水色のラインがおしゃれなトンボはクロイトトンボです。(写真4)日本全土の池沼で普通に見られるトンボです。長谷池ではほかにも数種のイトトンボが見られます。

 ピンクバッタと同じくカキツバタの葉にいた黒いバッタはヒメギスと思われます。(写真5)キリギリスによく似ていて小型であるためヒメ(姫)の名がつけられています。

 これらの生き物はいずれも八つ橋付近で見られたものですが,その池と反対側に鮮やかな緑の葉を持つ樹木が見られます。(写真6)これはスイショウです。ヒノキ科スイショウ属の針葉落葉樹で中国南部を原産地としています。、沼地や湿地を好むためスイショウ(水松)と呼ばれます。比較的新緑の展開が遅いため,今も若々しい葉をつけています。

 長谷池ではスイレン・アサザ・ヒメコウホネの水生植物が見頃となっています。これらとともに水辺の生き物も合わせてご鑑賞ください。