森林植物園のいま(バックナンバー)詳細

2016.11.04 サザンカ

[写真1]
[写真2]
[写真3]
[写真4]
[写真5]
[写真6]

 「サザンカ サザンカ 咲いた道 たき火だたき火だ 落ち葉焚き」(「たき火」作詞 巽 聖歌)

 晩秋の風物詩であったたき火も,時代の流れにより目にすることがなくなりました。けれどもサザンカが晩秋を彩る花であることには変わりありません。このサザンカが今満艦飾の花をつけています。(写真1)

 サザンカはツバキ科ツバキ属の常緑小高木で日本を原産地としています。寒い時期に咲くことから北方系植物のイメージがありますが,本来ツバキ科植物は熱帯から亜熱帯に分布し,サザンカも四国南西部から九州・沖縄を自生地とする温暖な気候で育つ植物です。

 今咲いているものはほとんどが八重でピンクの花弁を持つものですが,(写真2)園内でも一重のものや(写真3)白いものも見られます。(写真4)これは庭木として親しまれてきた結果多くの園芸品種がつくられたためで,およそ300種類があるといわれています。その基になった原種は白で一重の花です。本園では見られず画像はありませんが,一重の花弁がそれぞれ離れてついているのが特徴です。

 風媒花でない花の多く花粉の媒介を虫に委ねているのに対し,虫の少ない時期に咲くサザンカは鳥を頼っているようです。事実花の蜜を好むメジロがよくやってきます。(写真5)暖かい日には成虫越冬するチョウもやってきますがメインは鳥のようです。

 サザンカというと同属のツバキとの区別が難しいといわれますが,基本的には落花するとき花弁が散るものがサザンカで,花ごと落ちるのがツバキと考えてよいようです。そのため木の下に花びらが散っているのはサザンカです。(写真6)

 サザンカの名前は中国でツバキ一般を指す「山茶」に由来しており,山茶花の日本語音読みである「さんさか」が訛ったものといわれています。

 サザンカは主にあじさい園周辺でご覧いただけます。紅葉とともにお楽しみください。

▲ このページのトップへ


財団法人
神戸市公園緑化協会