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花・緑情報

トサミズキ・ヒュウガミズキ

2017.03.31 更新







 3月も最後の一日となりました。4月からの新生活に期待や希望に胸を膨らませている方もおられるかと思います。今日は少し気温が下がりましたが,それでも各地から桜の便りが届き春本番を感じます。そして多目的広場周辺ではトサミズキ・ヒュウガミズキが黄色い花を咲かせ始めています。(写真1=トサミズキ 2=ヒュウガミズキ)トサミズキ・ヒュウガミズキは「ミズキ」という名前はついているものの,ミズキの仲間ではなく,マンサク科トサミズキ属に分類され,ともに黄色い花をぶら下げるように咲かせます。

 トサミズキは落葉小高木で,長い花穂に7〜8輪の5弁花をつけます。(写真3)オシベは5本で,その先端の葯の暗紅紫色がよく目だっています。(写真4)日本原産でありその自生地も四国だけと限定されていますが,早春に花をつけるため,江戸時代から庭木や切り花として利用され親しまれています。

 ヒュウガミズキは同属の落葉低木で,花のつき方や色はトサミズキとよく似ています。ただ一つの花穂につく花の数が2〜3輪と少ないこと,(写真5)葯の色がトサミズキより薄いこと(写真6)などのほか,樹高の違いからも容易に区別できます。トサミズキより自生地が広く,石川から兵庫の日本海側そして高知・宮崎などにも分布しています。

 トサミズキは四国の中でも高知に多く自生するため,その旧国名である土佐の名を冠しています。ヒュウガミズキは宮崎(旧国名日向)にも自生していますが,日向の名を冠するには分布が広く,ヒメ(姫)ミズキの転訛という説もあります。

 ミズキの名前はミズキ科の樹木と葉が似ていることもありますが,仲間のマンサク同様,早春に黄色い花を多くつけることから満木(ミタスキ)と呼ばれ,それがミズキになったという説があります。

 トサミズキ・ヒュウガミズキは多目的広場外周路にあり,今はこの辺りが先に咲いています。長谷池手前の園路のものも,もう少しで見頃になるはずです。花や樹高の違いをご覧いただきながら春の色をお楽しみください。