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花・緑情報

冬のバードウオッチング14〜ツグミ〜

2017.02.27 更新








 まだ寒気は残るものの,日差しは春を感じさせます。今日は比較的早い時期に飛来し,春が深まってもまだその姿が見られる馴染みの深い鳥ツグミをご紹介します。(写真1)

 ツグミは夏季シベリアの東部からカムチャッカ辺りにかけての地域で繁殖し,秋から冬に越冬のため日本にやってくる渡り鳥です。日本では全国的に見られますが,主には積雪のない地方の田畑や河原などで,市街地でも見られることもあります。集団で飛来するため,秋から冬のはじめは群れで過ごすことが多いようです。(写真2=2016/11/25撮影)その後は単独での行動が主になります。

 体長は24cmぐらいとヒヨドリぐらいで,黒褐色と茶褐色が混じった色をしています。特徴的なのは胸部から腹部にかけて,白の地に黒褐色の斑点があることと眉の白い斑紋です。(写真3)雌雄はほぼ同色とされ,個体差もあり判別は難しいようです。ただオスの方が全体的に体色が濃いといわれますので,比較してみれば次のものが雌雄なのではないかと思われます。(写真4オス 5メスと思われる個体)

 食性は先にご紹介した同属のシロハラと同様の雑食ですが,シロハラよりも開けた場所例えば芝生などで採餌する姿が見られます。また実のある時期には樹上で実をついばむ姿も見られます。(写真6=2016/12/15撮影)

 この冬はまだ姿を見ていませんが,昨冬ツグミとは少し違った体色,特に胸部から腹部にかけての斑紋がオレンジ色の個体が見られました。これはハチジョウツグミと呼ばれるツグミの亜種で,繁殖地がシベリア北部とツグミよりも北で,日本への飛来も少ないとされています。全体の体色も緑褐色で,ツグミとは見た印象も少し違います。(写真7)

 ツグミの名前の由来は,冬鳥でさえずることがないため「口をつぐむ」からツグミになったというのが定説です。ただ渡り鳥が越冬地でさえずることがないのは普通のことで,ツグミだけがこう呼ばれるのはやや奇異に感じられます。それはツグミがかつて食用にされ,(今は捕獲が禁止されています)人々に馴染みが深かったからかもしれません。

 ツグミは園内各所っでご覧いただけますが,先に挙げたように芝生などで採餌することが多いため,多目的広場やシアトルの森などでお探しいただけると出会えるはずです。