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花・緑情報

ロウバイ

2017.01.10 更新








 今週半ばから寒くなるとの予報が出ていますが,今日は晴れた空が広がり,風もなく穏やかな一日です。そんな冬の柔らかな日差しのように透明感のある花,ロウバイが咲いています。(写真1)

 ロウバイはロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で,中国を原産地とし,日本には江戸時代初期に渡来したと伝えられています。

 多数ある花被片は,外側の花被片が黄色で,内側の内花被片は暗赤色です。(写真2)内花被片も黄色の種もありますが,それはソシンロウバイと呼ばれています。(写真3)また外花被片の色も黄色が濃いものや薄いものがあります。(写真4)

 ロウバイは雌性先熟で咲き始めはオシベが広がっています。それが数日たつとオシベが中央に集まり花粉を出すようになります。(写真5)こうして自家受粉を防いでいます。

 ロウバイの特徴の一つとして,変わった形の実が挙げられます。(写真6)この実は長く樹上に残り,ほぼ一年中見られます。実だけでなく葉も長く残り,時には花が咲き始める頃まだ葉が残っていることもあります。この葉は他の植物より遅く黄葉するため,遅い時期の黄葉を楽しむことができます。(写真7=2016/12/6撮影)

  古くはカラウメ(唐梅)と呼ばれており,漢名も蝋梅ですが,バラ科植物であるウメの仲間ではありません。梅の名前は,ウメ同様に早い春に花を咲かせることからきているようです。ロウバイの名前は漢名を日本語音読みしたものですが,ロウは花の質感がロウ細工を思わせることからきているようです。ただ臘月(ろうげつ=旧暦12月)に花を咲かせることに由来するという説もあります。

 ロウバイはその上品な香りでも親しまれており,英語名はWinter sweetつまり「冬の甘い香り」です。それほど強い香りではありませんが,顔を近づけると,鼻腔をくすぐるような甘やかな香りを楽しむことができます。

 ロウバイは香りの道・天津の森・薬樹園ほかでご覧いただけますが,今のところはうさぎの国横の花木園が一番よく咲いています。一足早い春の色ととともに特有の甘い香りもお楽しみください。